アイザック・マクドゥーガルについて 1

1話ずつアニメの感想書いていこうかなと思ったが、アイザックさんについて書いているだけで文章がもりもり増えてきてしまったので単独記事にした。
以下、アイザックについて、登場時の第1話だけではわからない核心部分のネタバレなどあり。



第1話にのみ登場のアニメオリジナルキャラクターのアイザックマクドゥーガル
デザインは荒川氏のラフ画が元で、それにアニメキャラデザ担当の人が「スカーに近しい『哀』のイメージ」をプラスして作ったらしい。まゆげがないのもスカーと同じ。
無精ひげイケメンで年齢はマスタングとそう変わらないぐらいだろうか。一人称が「私」なのがいい。とてもいい。


漫画にもアイザックなる人物は登場しているが、同一人物かどうかは謎。ここら辺は特に製作サイドが「同一人物」とも「モデルにしただけ」とも語っていない。
漫画のアイザックはイシュヴァール殲滅戦の中で、率いていた小隊ごと姿を消した軍人。
一方のアニメのアイザックは、国家錬金術師としてイシュヴァール殲滅戦に関わった後に帰還、その後に軍を辞めた人。
漫画のアイザックは一度姿を消した後、そのまま見つからなかったのか帰って来たのかは不明なので、帰って来ていたとしたらアニメのアイザックにつながるかもしれない。
アニメのアイザックは、「戦友などいない。イシュヴァールにいたのは腐りきった軍とその犬どもだけだ」と語っている。漫画と同一人物だったとすれば、共に一時期姿を消していた小隊の人たちはアイザックと袂を分かつことになってしまったのだろうか。部下たちもまた、アイザックにとって「腐りきった」存在で裏切りを受けたりしたのだろうか。
スカーに近しいイメージを持たせただけあって、アイザックはひたすら孤独で、彼がそうなっていったバックボーンがとても気になる。


アイザックは何故、軍服を着て行動しているのか考えた。
イシュヴァール内乱が終わってから何年も経っているのだから、軍服を着たきりすずめにしていたわけはない。
アイザックの行動は非常に派手なため、軍人にまぎれこむためのコスプレという線もない。片袖が破れた、むしろ目立つ姿であるし(上に布を羽織って軍服が隠れるような姿をしていたこともあったが)。
彼が軍服姿で現れたのは、それを纏う事によって主張したい事があったからではないか。

こちらは30話の回想の中で登場する、若き日のアイザック。特徴的なちょろっとした前髪の束はなく、坊主頭っぽい。
若いアイザックは、きっと国民を守りたいという思いのもとで軍に入ったのだと思う。かつてのマスタングやリザがそうであったように。
そして更にマスタングらと同様に、防衛戦争で迫りくる敵の命を奪う覚悟はあっても、殲滅戦争で武力のない自国に属する民草を殺す覚悟なんてものはなかった。
彼にとっての軍とはあくまでも「国民を守るためのもの」だった。
しかし現実のアメストリス軍は全くの逆の目的を持ち、殲滅戦争ですらも意図的に仕組まれたものだった。
アイザックは、本来彼が理想とする「軍」にはあるまじき「腐った軍部」に対して、「国を守るという意志のもとで動く自分こそが、真に軍人たる者」と示してみせたくて、あえて軍服を纏ったんじゃないだろうか。


アイザックはどこまで軍の秘密に気づいていたか。
国土錬成陣については気づいていたようだ。アイザックの行動は全て、それを阻止するためのものだった。
また、二話でわかるがアイザックは錬丹術もかじっていた。
お父様がアメストリスの錬金術に仕掛けていた事にも気づいており、お父様からの妨害が成された際にも対抗できるようにとシンに渡り学んだんじゃないだろうか。
アメストリスを囲む国のうち、シンは砂漠を越えなければ辿りつけず、一番追手が来にくそうな場所であるため、逃亡先としても打ってつけ。
アイザックが「お父様」という明確な存在を意識していたかどうかはわからないが、アメストリスの不自然な部分については知っていた。
スカーの兄やヒューズのように自力で一連のおかしな点を知ったのか、あるいは軍上層部から直接黒い事に誘われて知らされたのか、どちらだろう。
賢者の石を持っているという事は、後者かもしれない。賢者の石を渡された国家錬金術師はキンブリーらだけではなく、アイザックもキンブリーのように勧誘された上で賢者の石を渡され、持ち逃げし、作戦の時に備えて使わずに持ち続けていたのかもしれない。


過大評価かもしれないが、アイザックは序盤の時点でアメストリスのおかしな事情を知りつくしていたものすごい重要な人物であったと思う。
OP感想(1234)でも書いたが、OPは若ホーエンハイムを最初に配置するなど、漫画既読者に対して「漫画のこのエピソードやあのエピソードをやります」という抱負が盛り込まれたような内容になっていた。
本編第1話にも同様のものが感じられた。漫画では徐々に疑問視されていくようになった部分を、第1話でいきなり散りばめている。この手法は賛否両論であったが。
アイザックの役割とは、伏線のための「散りばめ係」でしかないのだが、散りばめ係を全うするために負わされた言動や設定は印象深いものだった。
本筋の中で、知りすぎたが故に殺されたヒューズや、初期の段階で気づきながらも死んでしまったスカー兄に対して、「彼らのように気づいていた人間は他にもいたのかもしれない。しかし、アイザックのように本筋に関わる事もなく消されていってしまったのかもしれない」という可能性を示す役としても有効に働いていた。


長くなってしまったので続きはまた後日。
アイザックは能力が高く、外見や性格なども好きなキャラなので好意的に書いたが、言動にダメダメな点も多いのでそこら辺のバッシングもしたい。