「マンガ大賞2012」受賞&インタビューで荒川氏がラジオ出演

わりと最近に創設された賞だそうで、今回で五回目。歴史は浅いがファンとしてはなんでも評価されるのは嬉しいものだ。


サンデー公式http://websunday.net/ginsaji/
描きおろしカラーイラストあり。3巻の特別版に付属するスプーンの画像も出ていた。可愛いので特別版を買う予定。


マンガ大賞2012公式 http://www.mangataisho.com/
描きおろしのモノクロイラストあり。大賞=牛なのかw


今回の受賞で驚いたのは、「オールナイトニッポンGOLD​ app10.jp」で荒川弘氏のインタビュー音声が流れた事だった。
ラジオ番組はニコニコ生放送でも配信されていたが、シフト予約だけしてリアルタイムでは見ていなかったので、さっき見て驚いた。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv81655068
シフト予約をしていない場合は有料。他でそのうち再放送する可能性もあるかな?




インタビュー書き起こし。聞き取れていない部分もあるかもしれない。細かい相づちなどは省く。
実行委員・吉田尚記氏 作者・荒川弘氏 編集者・坪内崇氏


吉田:マンガ大賞2012。本当にわざわざ受けていただいて、授賞式にまで来場していただきました、荒川弘先生です。
荒川:はい、ありがとうございます。
吉田:初めまして。
荒川:初めまして。
吉田:ほーおーーっていうのはもう漫画ファンとして、色々と思うところのある形でございます
荒川:ああいえいえ、こちらこそありがとうございます。なんかそのすごく大きな賞をいただいて。
吉田:いえいえいえいえ、そんな。
荒川:びっくりしてます。
吉田:手弁当でみんなでやってる何にも儲からない賞なんですけど、はい、賞金もなにも出してません、はい。ありがとうございます。
荒川:はい。
吉田:そして、今一緒にいらっしゃるのがですね、あの少年サンデーで「銀の匙」を担当していらっしゃいます、坪内崇さんでいらっしゃいます。
坪内:どうも、初めまして。
吉田:坪内さんすごく、なんか本当に農業の事とか考えていらっしゃいそうなタイプに見えますけど。
坪内:や、本当にこの漫画をやるまでは全く何も知らない感じでした。
吉田:そうなんですか?
坪内:だから逆に僕が、知らないことにびっくりして、荒川さんがそのびっくりを「えっ そこびっくりするの?」ってとこがこう、まあなかなか、作っていく上でいいのかなって。
吉田:球漫画とか作る時、野球知らない人が見てたほうがいいって聞いたことがありますけど、そういう感じに近いんですかね。
坪内:どうですかね。荒川さんにとって当然のことが、僕にとって全然当然じゃないって事のギャップっていうのはけっこう、漫画のネタとしては、使えていくんじゃないかな。
吉田:あの、先生は北海道のご出身で、ご実家が牧場だとお聞きしたんですが。
荒川:はいそうです。
吉田:あ、本当にそうなんです?
荒川:牛飼って、畑もやってます。
吉田:そうなんですね。じゃあまさに「銀の匙」で描かれてる世界ってのは、先生にとってちょっと日常の部分も?
荒川:そうですね。資料がいらないって
吉田:お、資料がいらない? 僕は「銀の匙」読ませていただいて、取材綿密だなーと思ってたんですけど。
荒川:やっぱり、私がやってた頃とは……十年ぐらい前ですか、かなり景気とかも変わってきてるので、あのまあ機械だったり技術だったり、そういうところは新しい技術の取材には行きましたけど。基本的な部分はそうですね、取材なくても書けるのが強みですね。
吉田:技術だけじゃなくそのあの、実際にそこで暮らしてらっしゃる方がなに考えているかみたいな、哲学みたいなものがすごく伝わってくるなーと。
荒川:あ、そうですか?
吉田:ええ、思って読ませていただいてたんですが、そういう事だったんですね。ジャンルとしては、他の人達が全く書いてらっしゃらない作品を書き始めたって事が、僕らとしてはすごい驚きだったんですけど。あの、ハッキリ聞きたいんですけど、もう国民的大ヒット作をどこかの出版社で出された方、スクウェアエニックスで「鋼の錬金術師」を書いていらっしゃった方が他の雑誌に移るって、もうそりゃあ野球で言うなら落合のトレードよりでっかい話っちゃでっかい話なんですけど、なにがきっかけでサンデーで書こうって事になったんですか?
荒川:そもそも……
坪内:そうですね、「ハガレン」をやってる時に、から、えーっと荒川先生の事が好きで、僕が荒川先生のところに会いに行ってというか、ほとんど雑談をしに行ってたんですよずっと。
吉田:そうなんですね、そんな事あるんですね。
荒川:吉田さんと雑談とか、ご飯食べたりとかは普通にありますね。
吉田:それで通ってらっしゃってて、その時に荒川さんは「鋼の錬金術師」がすごい、すごい形で……漫画ファンとしては熱い話を、気持ち悪い話をしたら申し訳ないんですけど、大体あれみんな引き伸ばしたいだろうに、本当にきれいにかっこよく最終回だったんで、すげーなハガレンって思ってたんですけども、終わったわけじゃないですか。その次なに書くかってみんなが本当に注目してたと思うんですけど、そのあの、いらっしゃってた方って坪内さんだけじゃないわけですよね?
荒川:そうですね。色んな編集さんと会社だったり雑誌だったりしゃべりましたけど。
吉田:それじゃこう、サンデーで書こうとなったきっかけは、先生なんだったんですか?
荒川:決定打は多分あのもう、まあ、坪内さんと話してて、農業の話面白いっていう事になって、まあ農業ネタは一応持ちネタにはあったんですけど、その中でもサンデーの読者層の話をしまして。
吉田:はい。
荒川:で、中学生高校生ぐらいの読者層が今なにを気にしてるかってアンケートを取ったら、けっこうな確率というか多さで、将来の事を気にしてるってアンケート結果が出てるんですよ。それを聞いた時に、あ、ピンと来て、「いけます」って話になって、そっからですね。
坪内:だから、あの、農業漫画なんですけど、一人の男の子の青春漫画というか、成長を描く。たまたまネタが農業。で、食育の漫画じゃなくて、コメディ。気楽に読んでくださいっていうノリでやってる感じなんですよね。
吉田:気楽に楽しんでるけど、気がつくとなにか覚えちゃってるぞ俺、っていう感じなんですけどね、僕。読ませていただいて。
荒川:そうですね。ちょこちょこ細かいネタは入ってるから。……なるのかな?
吉田:いや僕は、こんな風に日本の大規模農業はこうなってるんだって、全く知らないですし、ええ。
坪内:そこは僕もそうだったんですけど、僕も初めて、荒川さんと取材に行って「え、嘘」っていうのがいっぱいあるわけですよね。そのびっくりが、やっぱり、読者もびっくりしてくれるのかなってのがあったので。
吉田:ちょうど今連載が、今までアキちゃんすごい明るい子なのかなって思ってたら、雰囲気が変わってきたぞってところで、ものすごく僕個人的には気になってるんですけど、まあ、そこは聞いちゃうとつまらないところですよね。
坪内:そうですね、楽しみにしていてほしいところですね。
吉田:あの、どんなところ知っているといいとかいうところも……
坪内:……言えない。
吉田:はい、わかりました。この先も連載で追っかけさせていただきたいと思います。
坪内:よろしくお願いします。
荒川:よろしくお願いします。
吉田:本当にお忙しいところわざわざご来場いただいただけでもありがたいのに、お話まで聞かせていただいてありがとうございました。
荒川:いら、こちらこそ。ありがとうございました。
吉田:荒川弘先生と坪内さんでした。ありがとうございました。
荒川・坪内:ありがとうございました。



「ありがとう」という単語が七回出たぞー!
読者アンケートに影響を受けたというのはここで初めて出た話かな?
荒川氏は、やや低めの声。穏やかで真面目そうな感じ。しっかりとした話し方だった。
録音音声が流れたのみで、吉田氏以外の映像はない。とりあえず保存しておこう。



この手の賞は、どうせなら普通の本屋では発売日以外ろくに入手できないような、下手すれば発売日だろうと店頭に並ばないようなメニアックなものに与えてくれた方が、広く知られるチャンスができて良いのにと個人的には思ったりする。が、どちらかといえば元から知名度のある作品を更に人気にさせるための結果ばかり出るなー。いやまあ、喜んでるし、賞に選ばれるだけの面白さがある作品は、元から人気が出ているって事で当たり前なのかもしれないが。
去年完結巻が出た漫画だと「蝋燭姫」が面白かったのだが、どこの賞でもプッシュされなかった、ぐぬぬぬ。けして描写不足というわけでもないのに何通りものパターンを想像させる結末、2巻表紙の仕掛け、百合っぷりなど、話題になりそうな要素はある気がするが特に話題にならなかった。掲載誌的にはものすごくマイナーというわけでもないと思うが、有名でもないなー。フルゥちゃんとスクワちゃんの可愛さをもっとみんな知るべきだと思います。