銀の匙第1話「春の巻1」の感想

農業薀蓄物ではなく、学園生活物って感じになりそうだ。一話はそんな感じだった。全寮制の学校のようなので、学園寮での生活の描写が前面に出ても面白そうだ。
先生が寮生活について「これから一年間」と発言しているから、三年間ずっと寮生活というわけではなく、二年以降は選択式のようだが。実家が遠地にある生徒ばかりではないだろうし。



以降はネタバレなどあり。


表紙真ん中は主人公の八軒勇吾。早売りネタバレで名前だけは知っていたのだが、苗字の読み方がわからなかった。「は」からはじまるのか「や」からはじまるのかも不明だったが、正解は「はちけん」だった。
右はヒロイン(?)の御影アキ。勇吾のクラスメート。ウィンリィみたいにずいずいした感じの元気少女を予想していたが、元気は元気だがもうちょっとおっとりしていた。世紀末覇者かわいい。
左は駒場一郎。勇吾のクラスメート。表紙で出ているわりに、それほど他クラスメートより突出して登場しているわけではなかった。言動がなかなかイケメン。これから主人公の友人ポジションになるのだろうか。
なんとなく、主人公は気難しいタイプで、左のキャラと対立したりするんじゃないかと予想していたが、特にそうはならず、主人公は思いのほか嫌味なくいい奴で、一郎もまた、不器用な主人公を気にかけるぶっきらぼうだが面倒見のいい奴のようだった。


サブタイトルは春→夏→秋→冬と変わってゆき、最終回までに少なくとも作中時間は一年経過するのではと予想してみよう。間には、季節に関係のないサブタイトルも入るかもしれないが。
http://websunday.net/backstage/arakawa/
↑のインタビューで「少しの間お付き合いよろしくお願いします。」と作者が発言している。深い意味のない言いまわしでしかないのか、それとも短期連載になるという意味なのか。
短期連載という意味だとすると、1〜3巻程度の本当に短い連載になるか、鋼の錬金術師の9年間連載よりは短くなる程度で、数年間は連載するか、どうなるだろう。3年ぐらいかけてリアルタイムにあわせて作中時間を進めていき、主人公たちの卒業までが描かれるといいな。


煽りが「舞台は農業高校、学ぶのは命」「はてしなく広がる大自然 ここで僕たちは知ることになる… 生きるということ。生かされるということ。」というのがなんか壮大だw 重い話がありそうだ、動物関連での死にネタなど。鶏は一話から捌かれていたがw


冒頭、勇吾は学校の場内見学会で仔牛を追っかけているうちに、広い農地内で迷子になってしまう。
そんな勇吾を見つけてくれたのは世紀末覇者ヒロインのアキw 巨躯の農耕馬に乗って現れたその姿が勇吾には、黒王号に乗ったラオウ北斗の拳)に見えたらしいw
「道に迷っている主人公を、馬に乗ったヒロインが見つける」という流れは、同じサンデーに連載されていた「じゃじゃ馬グルーミンUP!」を思い出させる。ここの流れは、北斗の拳のパロディであると同時に、じゃじゃ馬のパロディでもあるのだろうか。
長袖長ズボンのジャージ姿で馬を乗りこなすアキに謎のエロスを感じた。


担任の先生が生徒たちと顔合わせをするところで黒板には「4月8日(金)」と書かれていた。日付と曜日が今年と一致している。(追記:思いっきりH23と年が描かれているシーンがあった事に気づいた)
クラスメートの自己紹介にページを割いたという事は、これからみんな出張ってくるのだろうか。

この子のインパクトがすごかった。
多摩子ふくふくしてるよ多摩子
多摩子の前の席の男子生徒も多摩子と輪郭が似ているよ多摩子
髪のカール具合とか、体格は太ってるけどお洒落には気を使ってそうだよ多摩子
実家は儲かってる富豪農家とかなのかな多摩子


勇吾と一緒に下校していた相川進之介は獣医を目指して入学したと発言していたが、獣医志望者にとって農業高校って有利なんだろうか?
農業高校は実践的な科目が多く、高卒で働く人には向いていても、獣医学部への進学を目指している人には適していないというイメージがある。本編でも専門教科以外の教科書が薄いと触れられているし、受験勉強には不利ではなかろうか。推薦枠とかがあるのかな?


舞台となる「大蝦夷農業高校」こと「エゾノー」はあまり賢い学校ではないようだが、勇吾は進学校として有名な中学校出身らしい。どうも、なんらかの家庭の事情を抱えていて、家に帰りたくないから全寮制のエゾノーを選んだらしい。
「寮があるから 帰らなくて済むから」と語るシーンは、すねたような顔で、あまり深刻そうではない。泥沼昼ドラ劇場な背景があるというわけではなく、もっと軽い理由がありそうだ。
「家にいるのが嫌で全寮制の学校に入る」というネタといえば「ここはグリーン・ウッド」が有名か。あれみたいに、兄が可愛いお嫁さんをもらってきて、兄嫁と一つ屋根の下で暮らすのが思春期の少年としては辛かったから家を出たとか、そういうのかもしれないw
(13日追記:グリーン・ウッドは全寮制ではなかった。寮もあるが強制ではなかった。間違い間違い)


クラスメートの子たちは「卒業したら実家を継ぐ」「○○を学びたいから入学した」とか明確な目標を持つ子たちばかりで、家を出たいからという理由だけで入学した勇吾は疎外感を感じる。40ページ中、三回ぐらい「夢がない事」で落ち込む姿を見せた。
勇吾が抱えていく課題は家庭の事情とかではなく、やりたい事を見つけるという「自分探し」のようだ。
作者の他作品だと、鋼の錬金術師は「自分探し」なんてぬるい事をやっている暇もない状態のキャラが主人公で、RAIDEN-18はやりたい事がハッキリ決まっているキャラが主人公だったので、ちょっと新鮮だ。少年漫画という媒体では、むしろこういうキャラの方が典型的か? いかにもモラトリアム中の子という感じでういういしい。

勉強はできないらしいのに特定分野の知識がものすごいことになっているクラスメートたちすごいっス。
勇吾は、進学校出身だからといって成績悪い子を露骨に見下したりはせず、勉強教えてあげたりとか、けっこう気さくで面倒見がよいキャラで好感がもてた。逆に周囲の人たちに対して委縮しまくりだ。発売前のイラストからは、もっとツンツンした攻撃的なキャラを想像していたので意外だった。


寮の部屋割は三人一部屋のようだ。勇吾は二段ベッドに寝転がっていたが、二段ベッド+普通のベッドという組み合わせなのか? ちょっと不公平な組み合わせのような気がする。二段ベッド×2で、余った一段は荷物置き場とかかな?
勇吾のルームメイトはA組の西川一、C組の別府太郎。クラスメートと同じ部屋割になるわけではないんだな。
西川と別府はどっちがどっちかわからなかった。畑作農家の息子が西川で、もう一人が別府だろうか。別府らしき人は、坊主頭で無精ひげで太っちょと、高校一年生には見えないw 畑作農家の息子は、壁にアニメポスターらしきものを貼っていたりと入学三日ほどにしてはもうくつろぎすぎw ポスターは真ん中がマクロスF、右が神のみぞ知るセカイのようだ。左はなんだろう?


・専門教科の教科書がごんぶと、一般教科の教科書は薄っぺらい
・寮の風呂の使用時間が異常に短い
というネタは百姓貴族でも見たなーw
かぶる部分はこの先も出るだろうけど「百姓貴族でやれる話なら、新たに新連載立ち上げる必要はなかったんじゃないか」と思わせる事のないよう、独自の見せ方をしていってくれるといいな。



体育教師がどっかで見た事ある人だw
このヒゲ、髪のカール、きらめき、そして体格……軍人辞めて高校教師に転職したんですかアレックス・ルイ・アームストロングさんwww
体育なのに男女混合でやっているようだが、40名しかいない科だから毎回合同なのか、マラソンだから今回だけ特別なのか。
アレックスもどきの命により、マラソンで学校の敷地を一周する事になる勇吾たち。
「校舎」の周りではなく、実習農地・実習農林を含めた「一周20キロ」の距離を走らされることになるw
高校の授業って一回につき50分ぐらいだったかな? 時間内に帰ってこれない人が絶対出るぞw だから回収用に、アレックスもどきが最後尾を軽トラで走っているんだろうかw
学校の地図が、Googlマップを意識したらしく「Geegl」と書かれていたり、20キロ走ると聞かされて多摩子がガラスの仮面風の白目になっていたのが笑えた。


1話は面白かった。主人公の家庭の事情やこれからなにを目指していくか、周囲との人間関係はどうなるか、など続きが気になる。
「次号、はじめての実習で、理不尽!!」との事。楽しみだなー


雑誌アンケートの項目。
>『銀の匙』で今後一番読んでみたい展開を、以下から選んで番号でお答えください。
>1.主人公と女性キャラのラブコメ的展開
>2.部活動を中心とした展開
>3.農業高校の日々を描く展開
>4.生徒同士の友情物語を中心とした展開
>5.コメディー要素の強い笑える展開
>6.その他(具体的に)
1から5まで全部やってくれ、というわけにはいかないかw
2で部活とあるが、1話ではまだ勇吾は部活に入っていないのだが、アキを追って馬術部に入るのだろうか。
文化系の部活がなくて運動部しかないとか運動神経のない人には辛い学校だ。



付録のクリアファイルはこんな感じで袋とじにされていた。

中はこんなの。動物描くの上手いなー



フォントが銀だこと似ているような気がしたが、比べてみると特にそうでもなかった。
「Silver Spoon」の部分のカウベルのようなマークが可愛い。