27巻の感想 1

発売前のネタバレについての感想はこちら

表紙、血まみれなのに爽やかなエドさんすごい。晴れ晴れとしている。
店頭にて、表紙のホログラムの光具合はかなり目立っていた。初回限定版もそうだが、単行本を並べて置くと、他の巻と比べて浮いてしまうのがネックではあるが「最後にパーっと豪華な感じでやろう」という装丁担当者の意気込みは感じられる。
最終巻CMでの、光が左から右にだーっと流れていく表現が好き。


27巻を買う前にまず初めにチェックしたのは背表紙だった。
発売前は、生身で健康な体になったアルが来ると思っていた。もしくは、るろうに剣心のように主人公の子供を持ってくるという可能性もあるかなーとも。どちらもハズレで、エド機械鎧の右腕がくるとは……
ボロボロに壊れながらも拳を握って突き上げられているようなこの右腕は、表紙のエドと通じるものがある。右腕さん今までお疲れ様でした。

表紙折り返し部分の作者コメントについて。

「キャラのセリフにはあいさつと感謝のことばをなるべく入れるよう心がけた」との事。
一番はじめに頭に思い浮かんだシーンは、ロックベル夫妻に助けられた事のあるイシュヴァール人の老婆が「ロックベル夫妻の墓前に報告をしておいておくれ。感謝と謝罪を」とエドに頼むところ。なんでこの暗い場面が真っ先に浮かんでしまったんだろう。「感謝」という言葉が直接的に入っているからか。暗いよ暗い。慌ただしい中で、老婆たちは生きている本人に対して感謝と謝罪を述べる事はできなかったのかもしれない。ましてやあいさつなんてなー


明るいあいさつといえば、リゼンブールに帰るたびにエルリック兄弟とロックベル家の人々が交わす「おかえり」と「ただいま」。
自分では気づかなかったが、エドがちゃんと「ただいま」とウィンリィらに返すようになったのは最終回が初めてだとか。単行本はほとんど実家にあるのでアニメを数話見返してみたところ、確かに、アルはちゃんと「ただいま」と言っているのに対して、エドは「よう」とか「おう」みたいな返し方ばかりだった。
「後戻りをしないように」と言いながら家を燃やしたのに、「帰るべき場所」としてロックベル家を扱う事にエドは抵抗があったのかもしれない。色んな事を果たした終えた最終回だから、やっとエドはロックベル家を「帰るべき場所」と素直に思えるようになったのだろうか。

表紙裏について。

恒例の天国に昇っている人々の図がない!
ネタバレ防止の字を見た瞬間にくすっときたが、毎回ここではネタバレしまくりなんだから今更いいじゃないか。お父様やグリードがここでどんな風に描かれるか楽しみにしていたのでちょっとがっかり。ギギギギギ……
最終巻だし、事前情報を何も知らない読者たちに「主人公が死ぬかもしれない!」という緊迫感を持たせながら読ませる上ではネタバレ防止措置は必須だったのかもしれないが。


「もしもお父様の中にスロウスのみが残ってたら」のダメ人間なお父様が面白かった。
実際には本編では、数百年ぐらいお父様の中にはラースだけが残っている状態だった。
スロウスのみのお父様の怠惰っぷりと照らしあわせると、ラースのみだった頃のお父様は些細な事で怒りまくりで子供たちにDVするような荒くれ親父だったのだろうか。グリードが離反したのはまだお父様の中にラースのみがあった頃。ものすごくギャースカギャースカとお父様とグリードは熾烈な親子喧嘩を日夜繰り広げ、グリードは家庭内暴力に耐えきれなくなって家を飛び出したのだろうか……
ちゃぶ台返しをするお父様が見たい。

本編の修正箇所について

今巻に収録されている話は雑誌で既に読んでいたので、見比べてみたが大きな変更箇所はなし。スケジュールが厳しかったとの発言をけっこう色んなインタビューでしていたようなので、もしかしたら大幅に修正した部分があるだろうかと思っていたが、忙しい中でもクオリティは保っていてくれたようだ。

細かい部分の加筆箇所の比較をしてみた。ややピンクがかっているのが雑誌掲載時のもの。

目のバランス修正。雑誌掲載時はちょっと目が内側に寄っていた。修正後の方が意志が強そう。

トーン追加。目の光、これはハイライトっていうんだろうか? 

他にも細かな変更が色々とあるかもしれない。トーン追加はけっこうありそうだ。


他にもうだうだ語りたいのでまた続く。